2025年以降のSEOは「情報体験の統合戦略」へ──ブランド価値を軸とした新しい時代

こんにちは。シンクムーブの豊藏です。

今回は、2025年以降のSEOについて、少し中長期的な観点から考察してみたいと思います。

私自身、これまで大手企業向けSEOコンサルティングやITコンサル、営業、エンジニアリングを経験してきましたが、ここ数年の急激な変化は、SEOの捉え方そのものを根本から問い直す時期に来ていると強く感じています。

これまでは、検索エンジンのアルゴリズム変動や順位アップデートに対応し、「特定のキーワードで上位表示を狙う」ことがSEOの中心的なテーマでした。

しかし、AI技術の進化やユーザー行動の多様化、メディア接点の拡散化によって、2025年以降、SEOは「検索結果を対策する」領域ではなく「情報体験全体を最適化し、ブランド価値を伝える」戦略領域へとシフトせざるを得ない、と私は考えています。

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アルゴリズム対策の終焉とブランド信頼構築へのシフト

直近のコアアルゴリズムアップデートを見ると、検索エンジンのクエリ解釈能力は加速度的に向上しています。

さらに、生成AI技術の進化により、既存コンテンツの効率的再編や精度の高いテキスト生成が容易になりました。その結果、従来のような小手先の最適化やスキマ狙いは、極めてコストパフォーマンスが悪くなっています。

一方で、ただ「王道」と言われるテクニカル対応や基本施策をするだけでは、競合と差別化できない状況が明確になりつつあります。

検索エンジンが情報を多層的に理解し、ユーザーがあらゆる経路(音声アシスタント、AIチャット、SaaS内検索、パーソナライズド推奨)から情報を得る時代となる可能性が高いです。

ここでは「SEO対策」という狭い枠組みを超え、「デジタル空間でブランドがどのように信頼され、認知され、接触されるか」という、より広範なブランド戦略が求められます。

「検索順位を見る=SEO」の視点を超えて

今後の検索エンジンは、単純な「検索結果一覧」を超え、ユーザーのコンテキスト(過去行動、関心、地理情報など)を総合的に考慮した「知識レコメンドエンジン」へと進化していくでしょう。

2024年10月には、Googleは「Your search results page, organized with AI」というセクションにて先行実験をすでに開始しています。ここでは、あなただけのために整理された関連性の高い結果が記事、ビデオ、フォーラムなど、Web 全体のコンテンツと視点をすべて 1 か所で表示させています。

結果として、誰もが同じ順位や同じ結果を見る時代は終わり、個別最適化された情報体験が当たり前になります。テキスト、動画、音声、対話型UIがシームレスに統合され、ユーザーは「検索しなくても」自分に合った情報に出会える可能性が増すわけです。

このような環境下では、技術的・コンテンツ的なベストプラクティス(いわば一般解)はAIによって容易に再現され、コモディティ化します。つまり、テクニカルや構造化データなどの基本対応は大前提に過ぎず、本質的な差別化軸にはなりにくいです。

むしろ「ブランドストーリー」「コアバリュー」「ユーザー体験全体」を戦略的に編集し、ユーザーが自然とブランドに触れられるエコシステムを築くことが重要になります。

新しいSEOコンサルタント像:情報編集者・知識キュレーターへ

2025年以降、我々が「SEOコンサルタント」として活動するなら「Google検索の順位向上」だけでは、企業の競争戦略に役立ちにくい状況になりそうです。それ以上に、サイト上に蓄積されたコンテンツ、プロダクト情報、ブランドヒストリー、ユーザーの声など、あらゆる情報資産を「編集」し、「キュレーション」する能力が求められるようになると考えています。

  1. 全方位的思考力(Holistic Thinking)
    ランキング要因だけに固執せず、ユーザーが暮らす世界・コンテキスト全体でブランド価値を浮き彫りにし、顧客との接点を多面的にデザイン。
  2. 価値言語化とストーリーテリング能力
    キーワードの羅列ではなく、ブランドの哲学やコアバリューをユーザーが理解できる物語として伝える。ナラティブ構築で深い共感を生む。
  3. テクノロジー理解と即応性
    CMS、MAツール、データ分析基盤、生成AI、音声UI、新興メディアなどを使いこなす。技術に振り回されず「ブランド価値最大化」のためにどう活かすかを常に考える。
  4. UXリテラシーと顧客体験デザイン
    構造改善やページ速度最適化は当たり前。顧客が快適に情報を受け取れる体験設計や、リピート訪問・エンゲージメントを生み出す仕組み作りが鍵。
  5. ステークホルダー統合力(社内外ファシリテーション)
    部門横断的な知見共有やプロジェクト推進を通して、社内のサイロを打破。PR、CS、開発、営業などを巻き込み、共創するファシリテーター役が必要。
  6. エコシステム志向
    チャネル単体の最適化でなく、全接点をネットワークとして考え、その総合的価値を向上させる。
  7. サーキュラーな学習プロセス(PDCA)
    アルゴリズム変化や顧客トレンドに合わせて仮説検証を繰り返し、常に戦略をアップデートする。
  8. ブランド価値中心主義
    最終的には、ブランドが「なぜ存在し、何をもたらすか」という普遍的な問いへ立ち返る。アルゴリズムに振り回されず、ブランドの北極星に忠実であること。

これらの要素は、一見すると難易度が高く、SEOとは別分野の素養が多く感じられるかもしれません。

しかし、実は今もトップクラスの企業やコンサルタントは、こうした領域へシフトし始めています。私自身も最近のLT(ライトニングトーク)や各所での登壇でも、この方向性について話していますが、時代の潮流は明確です。

ゆでガエルにならない為に、必要なマインドセット

「じゃあ明日から、すぐに全部変えなきゃいけないのか?」と問われれば、2025年に突然激変するわけではありません。

しかし、3~5年というスパンで見れば、トップレベルの企業や人材は確実にこの新しいSEO=「情報統合戦略」領域へ移行します。中長期的視点で、徐々にスキルセットや組織体制、メンタリティをシフトしていくことが、生き残りのカギになるでしょう。

何より、私が強調したいのは、「人間にしかできないこと」を追求することの重要性です。生成AIやテクノロジーの進化は止まりませんが、ブランドへの共感、哲学的価値、物語性や信頼関係を紡ぐのは人間が行うべきものと考えています。

最後に

2025年以降のSEOは、「検索エンジン対策」という狭義の考えから、より一層マルチチャネル思考が求められる印象です。もちろん、テクニカルやコンテンツ施策は引き続き重要ですが、それは「最低限の土台」に過ぎなくなるでしょう。

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この記事を書いた人

豊藏 翔太のアバター 豊藏 翔太 代表取締役

シンクムーブ株式会社 代表取締役Webコンサルタント
アイオイクス株式会社Webコンサルティング事業部 フェロー

法政大学経営学部卒業後、エン・ジャパン株式会社でセールス、商社系SIerにてITコンサルタントとして勤務後、アイオイクスにてIT/WEB・人材・小売など様々なサイトのセールス/コンサルタント業務を行う。アフィリエイト経験とコンサル経験を活かした、実務に落ちるプロジェクト設計力が強み。

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