GA4のDirect流入が増えたら、ChatGPTを疑ってほしい理由|Referrerが消えている仕様と見えないAI流入の正体

最近、GA4の特定の記事へのDirect流入が、不自然に増えていませんか?

「ブックマークかな」「URLを直打ちされているのかな」と思ってそのまま流してしまいがちですが、今はその解釈だけだと危ういかもしれません。

そのDirect流入の一部は、高い確率でChatGPTなどのAIモバイルアプリからの流入です。アプリの仕様上、リファラ(参照元)が削除されてしまうため、AIに引用されるという最高の成果を上げていても、GA4上では「出所不明のアクセス」として処理されてしまいます。

本記事では、この「見えないトラフィック」が発生する仕組みと、GA4の表面的な数字だけでは判断できなくなった時代のコンテンツ評価・SEO戦略について整理します。

この記事でわかること

  • ChatGPTモバイルアプリからの流入がGA4で「Direct」になる技術的な理由
  • Direct流入の数字だけで判断することの危険性(コンテンツ評価のバグ)
  • AI流入が混じっているかを推測する4つのアプローチ
  • GA4カスタムチャネルグループの設定方法(正規表現つき)
  • AIに引用されるコンテンツの条件とGEO(生成エンジン最適化)の実践

ご覧いただきありがとうございます。

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「Direct」に化けるChatGPT流入のカラクリ

GA4を正しく読むためには、まずリファラヘッダーという仕組みを理解しておく必要があります。ここでは技術的な背景と、ChatGPTアプリで何が起きているかをわかりやすく解説します。

リファラヘッダーとは何か

GA4がどのチャネルから来たかを判定する際、最初に参照するのがReferrer(リファラ)ヘッダーです。

通常のウェブブラウザはリンクをクリックした際、遷移元のドメイン情報をこのヘッダーに付与して送信します。GA4はそれをもとに「chatgpt.com / referral」などのソース・メディアを記録する仕組みになっています。

なぜChatGPTアプリではリファラが消えるのか

問題はChatGPTのモバイルアプリ(iOS/Android)がリンクを開く際の挙動にあります。

アプリはリンクをアプリ内WebViewやサンドボックスを経由して開くことが多く、このプロセスでリファラヘッダーが引き継がれない、あるいはプライバシー保護のために削除されます。

GA4には「ソース:(direct)」「メディア:(none)」として記録されます。これはChatGPTだけの問題ではなく、モバイルアプリ全般に共通する構造的な特性です。ただし、ChatGPTはユーザー規模が大きいため、その影響が特に顕在化しやすいです。

複数の独立調査が示すエビデンス
MarTech(2025年11月)はChatGPT内ブラウザ「Atlas」が「リファラヘッダーを削除し、GA4ではDirect または (not set) として記録される」と実測で確認しています。

Airef(2025年7月)は「GA4で計測できているChatGPT流入は実態より大幅に少ない」と結論づけ、Tallyのケースとして新規サインアップの25%がChatGPT経由と自己申告されていたにもかかわらず、GA4のトラフィックシェアはそれを大きく下回っていた事例を紹介しています。
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Digital Power(2025年9月)はAIプラットフォームの rel="noreferrer" 属性と現代ブラウザのデフォルトリファラポリシーが重なり、計測精度がさらに下がると指摘しています。

Direct化する主なパターン(3つ)

① モバイルアプリのWebView経由

アプリ内でリンクがタップされた際、WebViewがリファラを送信しません。スマートフォンがChatGPTの主要な使用端末である以上、このケースが最も多いと思っています。

② URL直打ち・コピペ

ChatGPTがURLではなくブランド名のみを回答に含めた場合、ユーザーはブラウザで直接入力するか検索します。前者はDirect、後者はOrganicに記録されます。どちらも実態はAI起点ですがトレースできません。

③ 複数セッションにまたがる行動

ChatGPTで認知し、後日別デバイスやブックマークから再訪するケースです。「ChatGPTで知って、翌日PCから検索した」パターンがこれにあたります。セッションが分断されることで最終的にDirect扱いになりやすいです。

💡 確認してみてください: GA4のTraffic acquisitionで「Session source / medium」を開き、chatgpt.com / referral を検索してみてください。数字が少なくても、それが「全体」だとは思わないほうがいいかもしれません。

データ至上主義が引き起こすコンテンツ評価のバグ

「数字で判断する」はマーケターの基本姿勢ですが、その数字自体が現実を正確に映していないとしたら?ここでは、GA4の表面的な数字だけを見ることで起きうる「判断のズレ」を整理します。

「Organicがゼロ=効果なし」は本当か

GA4のOrganic Searchだけを見て「この記事はSEO効果がないからリライト・削除しよう」という判断は、今のデータ環境だとかなりリスクがある判断になっていると思っています。

その記事が、ChatGPTやPerplexityのAI回答を支える重要なソースだったという可能性が十分あります。

GA4の数字だけを見て打ち切りを決めるのは、実際に機能しているコンテンツを誤って廃棄するリスクがあります。

「Direct」の意味が変わりつつある

項目従来のDirectAI時代のDirect
主な流入元ブックマーク・URL直打ちブックマーク・URL直打ち+AIアプリ流入
トラフィックの質低品質とみなされがち高意図・高熱量ユーザーが混在
計測範囲計測できる=全体計測できているのは氷山の一角
コンテンツ評価Organic減少=価値低下AI引用が増えてOrganicが減っている場合も

ダークファネルという現実

マーケティングの世界では、計測できない流入経路を「ダークファネル」と呼びます。

今のChatGPT経由の流入の多くはここに含まれます。

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重要なのは、ダークファネルには「意思決定をほぼ終えたユーザー」が多い傾向があるという点です。ChatGPTで情報収集を終えて「この会社が信頼できる」と判断してからサイトを訪れるユーザーは、すでに購買・問い合わせまでかなり近いところにいます。

「計測できない=価値がない」ではありません。むしろDirect流入の中身を丁寧に見ることで、そこに熱量の高い見込み客が潜んでいないかを確認することが、これからは重要になってくるかなと思っています。

GA4でDirect流入のランディングページを確認し、トップページ以外の深いページへのDirect流入が増えていないかチェックしてみてください。専門性の高い記事や特定の課題を扱うロングテール記事へのDirect流入増加は、AI引用のシグナルである可能性が高いです。


見えないAI流入を推測・評価する4つのアプローチ

完璧に計測することは現時点では難しいです。

ただ、仮説を立てて動く材料は作れます。ここでは実際に自分が使っているアプローチを4つまとめました。

① 不自然なDirect流入をあぶり出す

トップページではなく、階層の深いロングテール記事やニッチな専門記事へのDirect流入が急増している場合、AIからのサイテーション(引用)の可能性が高いです。馴染みのない記事URLをわざわざ直打ちすることは、よほどのことがないとしないはずです。

GA4で確認するポイントはこちらです。

  • Traffic acquisition →「Direct / (none)」でフィルタ → ランディングページを確認
  • トップページ以外へのDirect流入が増えていないか
  • 増加した記事のテーマと「ChatGPTで聞かれそうな質問」の一致を確認

② エンゲージメントの「質」で裏付ける

AI文脈から来るユーザーは「答え」をある程度持ってランディングする傾向があります。そのためスクロール深度・滞在時間・CTAへの到達率・コンバージョン率といった指標が、他チャネルより高くなりやすい印象があります。

Direct流入ユーザーのエンゲージメント指標を、Organic・Referralと比較してみてください。質が高ければ高いほど、「意思決定済みで来ているユーザー」が混じっている可能性があります。

③ ゼロパーティデータ(自己申告)を取得する

正直、今の段階では「直接聞く」のが一番精度が高いと思っています。

問い合わせフォームやアンケートの「当社を知ったきっかけ」に「ChatGPT・AI検索」という選択肢を追加してみてください。

BtoBの現場でも、ここで初めてAI経由のリードに気づくケースが増えているという話をよく聞きます。GA4数値と自己申告数値の乖離を定期的にモニタリングすることが、AI流入の実態把握に現状最も近い手法だと思っています。

④ GA4カスタムチャネルグループで分離する

まずは「計測できている分」だけでも可視化しておくことで、傾向を掴みやすくなります。

管理画面 > データ設定 > チャネルグループ で「AIトラフィック」チャネルを追加し、以下の正規表現でソースを捕捉します。

(chatgpt\.com|chat\.openai\.com|openai\.com|perplexity\.ai|claude\.ai|gemini\.google\.com|copilot\.microsoft\.com)

このチャネルを「Referral」の上位に配置することが重要です。GA4は上から順番にチャネルをマッチングするため、上位に置かないとReferralとして処理されてしまいます。

ただし、WebView経由のDirect化は依然として捕捉できません。これはあくまで「計測できている分の分離」であって、「全体の計測」ではない点は踏まえておく必要があります。

💡 設定後にやること: AIチャネルからの流入と他チャネルのエンゲージメント指標を比較してみてください。AI流入のCVRや滞在時間が高ければ、計測できていない分も含めてAI流入の価値を評価しなおす材料になります。

リファラが消える時代のSEO戦略(GEO)

計測できないからといって対策を諦めるのはナンセンスだと思っています。むしろ「見えないことを前提としたコンテンツ作り」へシフトするタイミングです。ここでは、AI時代に選ばれるコンテンツを作るための考え方を整理します。

GEOとは何か

GEO(Generative Engine Optimization)とは、生成AIの回答に自社の情報が引用・参照されるよう最適化する考え方です。従来のSEOが「Googleで上位表示されること」を目的としていたのに対し、GEOは「ChatGPTやPerplexityの回答で引用されること」を重視します。

ただし、GEOはSEOの代替ではなく補完です。多くの生成AIは検索エンジンの上位記事を優先的に参照する傾向があるため、SEOで強いコンテンツを作ることは、GEOにも直結します。

AIに「選ばれる」コンテンツの条件

ここで重要な事実があります。ネット上の情報をまとめただけの記事は、AI自身が作れるため引用されません。

AIは既存情報の要約が得意で、その得意なことをやっている記事をわざわざソースに使う動機がないからです。

AIのソースとして価値を持つのは、次のようなコンテンツです。

  • 独自調査データ ── 自社でしか持ち得ないアンケート結果・実測データ・検証レポート
  • 一次情報・現場の知見 ── クライアントとの実務で得た示唆、業界の生の声
  • 専門家としてのオピニオン ── 「自分はこう判断する」という根拠ある主張
  • 再現性のある体験談 ── 「自分がやったらこうなった」という具体的な経緯

調査方法・対象属性・実施時期を明記することも重要です。情報が明確であるほど、AIも人間も「信頼に足る情報源」と判断しやすくなります。

機械可読性を高める工夫

構造的にも、AIが情報を取り出しやすくする工夫が効果的です。

  • 冒頭に端的な結論(要約)を配置する ── AIが切り出しやすい「引用しやすい文」を意図的に作る
  • 見出し・箇条書きで構造を明確にする ── AIが内容の骨格を正しく把握しやすくなる
  • FAQ形式のブロックを設ける ── 質問と回答のペアはAIが引用しやすい
  • 構造化データ(Schema.org)を実装する ── 「このページは何の情報か」をAIに正確に伝える

「探してもらう」から「推薦してもらう」へ

SEOの本質はずっと「探してもらう」ための最適化でした。ただ今の流れを見ていると、重要性が増しているのは「推薦してもらう」状態を作ることだと感じています。

GoogleでもChatGPTでも、ユーザーが問いを投げたときに「この会社の記事が参考になる」と提示される存在になること。それは従来のSEOの延長線上にありながら、一次情報の発信・独自知見の言語化・構造的な情報設計という要素の比重が、これまでより増しています。

AI時代の「SEO戦略」に3つのポイント 推測の「AIO」は避けるべき

リファラが消えても、ユーザーはあなたのコンテンツに触れています。計測できないからといって、その価値がなくなるわけではないです。

今日からできること
自社の記事を1本選び、「これはAIに引用されるか?」という視点で見直してみてください。「ネット上のまとめ」になっていたら、自社にしかない知見・数値・体験を1つ追加するだけで、AIのソース候補になる確率が上がるはずです。

まとめ

GA4の「Direct」という無機質なラベルの裏側に、ChatGPTと対話し、自社コンテンツに出会ってくれた生身のユーザーがいます。ツールの仕様によって、マーケターの目が曇ってしまいがちな時代になってきました。

GA4の「Organic」の数字を増やすことだけにとらわれず、「AIに情報源として頼られる一次情報」を創り出すことが、これからに必要なSEO戦略になると思っています。

この記事のポイントまとめ

  1. ChatGPTモバイルアプリからの流入はWebViewの仕様でGA4にDirect扱いされる
  2. GA4のDirect流入=出所不明の低品質トラフィック、という認識はアップデートが必要
  3. 深いページへの不自然なDirect・エンゲージメントの質・自己申告でAI流入を推測できる
  4. GA4カスタムチャネルグループで「計測できている分」だけでも可視化する
  5. AIに引用されるコンテンツの条件は「自社にしかない一次情報」+「構造的な読みやすさ」
  6. 「探してもらう」から「推薦してもらう」への戦略シフトが、これからのSEOの軸になる

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この記事を書いた人

豊藏 翔太のアバター 豊藏 翔太 シンクムーブ株式会社 代表取締役

エン・ジャパン株式会社にてIT/Web系の求人広告営業、ITコンサルティング企業でAIやRPAなどのITコンサルタントを経験後、「SEO Japan」を運営するアイオイクス株式会社に入社。

第1局長として大手企業を中心としたWebコンサルティングに携わった後、2024年12月にシンクムーブ株式会社を設立。アイオイクス株式会社フェローを兼務。

AIを活用したインハウスマーケティング共創支援サービスやセミナー、『AI時代のSEO戦略──組織を動かし成果を引き寄せる実務マネジメント』の出版など精力的に情報の発信を続けている。

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